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第3話 探偵?

last update Last Updated: 2025-09-19 06:00:48

「なら、一緒になんて住めないよ」と言うと、

「どうして?」

と、聞くので、先程の私の考えを伝えた。

「あ〜そうかもなあ〜」

律樹は自分でも、両親があまりにも静観しているのがおかしいと思っていたようだ。

「なら、こうして、私と会ってることも逐一報告されているのかもね」と言うと、

律樹は、突然そ〜っと立ち上がり、シーっと人差し指を立てて口に当てている。

そして、部屋の入口まで行き、一気に扉を開けた!

すると、

「うわっ!」と、声を上げる40代位の男性が居た。

「あっ! やっぱり!」と律樹は言った。

「え?」と私が驚くと……

律樹は、その男性に、

「島田さん! ココで何してんの?」と、しゃがみこんで聞いた。

「あ、申し訳ありません。奥様のご命令で……」と言った。

律樹は、ずっと後を付けられていたのだろうか……

「なるほどね〜で、いつから?」と聞く律樹に、

「……4月から」と言う男性。

「ブッ」

──最初からつけられてんじゃん!

と、私は思わず笑ってしまった。

「はあ〜? 俺が家を出てからすぐ?」

「あ、はい……」と言う··という男性。

──やっぱり……

そして、律樹は、

「ねぇ〜島田さん! この事が母にバレたら、怒られるよね〜? クビじゃないの〜?」と、島田さんを脅し始めた。

「はあ〜まあ……」

と困ったような顔をしているのが扉からチラッと見えた。

「じゃあ、俺と手を組まない?」と言う律樹。

こんな時の律樹は、悪知恵が働くのだなと思った。

「え? それは、どういう?」と聞かれる島田さん。

「見つかったこと、黙っててあげるから、島田さんも、俺がみありと居たことを黙ってて!」

と取り引きをしたのだ。

「いや〜でも〜」と言う島田さん。

「じゃあ、言う? 間違いなく解雇だな!」と言う律樹に、

「それは! う〜ん……」と困っている様子の島田さん。

「俺はただ転職しただけで、今後も みありの存在は····だと思って言わないでくれたら、きっとそのまま働けると思うし……」と言うと、

島田さんは、とても悩んでいる様子だが、

「お互いの為に、そうしよう!」と、手を出して握手を求めている律樹。

そして、無理矢理、島田さんの手を取って、にこやかに握手をする。

「え〜! うわ〜、はあ〜」と、困った顔をしながらも観念した様子の島田さん。

「分かりました! でも、奥様に見つかった時は、知りませんよ」と言う。

「うん、その時はその時だから! ありがとう!」と、お礼を言っているので、····の私も部屋の中から会釈をした。

「と言うことで、今日はもう俺1人でマンションに帰宅したと報告しといて! じゃあ島田さん! またね〜お疲れ様〜バイバ〜イ」

と言う律樹に、

「お疲れ様でした! 失礼します」と、本当にお店から出て行くのを部屋の扉から2人で顔を出して見送った。

そして私は、思わず笑ってしまった。

自信満々に、『両親との連絡は絶っている!』と言っていた律樹。

お母様が雇っている島田さんに、

家を出て速攻見つかっていたことにも気づかないなんて……

「ふふふふ」

おかしくて笑ってしまった。

「何笑ってんの?」と言うので、話すと……

「あ〜笑ったな」と恥ずかしそうにしている。

でも、律樹らしいと思った。

そして、

「みありが笑ってる!」と、律樹は又私をぎゅっと抱きしめた。

「私、透明人間なの?」と聞くと、

「うん、島田さんには見えないの」と言う。

そして、

「みあり! お願いだから、これからは、ずっと俺と一緒に居て!」と言った。

「う〜ん……バレてるなら余計ダメなんじゃないの?」と言うと、

「いや、俺が住んでる場所を知って、みありを探しているのも知ってて、泳がせてたのなら、このまま泳がされよう! 島田さんも味方に付けたし……まだ俺たちが会社で会ったことを母は知らないよ」と言う。

「和解しなきゃダメでしょ?」と言うと、

「うん、いつかはね。今じゃないよ!」と言う。

正直、私には律樹の考えがよく分からなかった。

でも、ただ一緒に居たい! と言う気持ちだけは、

分かったし、私も同じだった。

「ね、ね! そうしよう!」と勝手に話を進める。

「まだ、何も言ってないよ」と言うと、

ジーッと私の顔を見つめて、

「みあり! もう一度、俺と付き合ってください!これからは、一生ずっと一緒に居てください!」

と、真面目な顔をして言った。

──コレって、2度目のプロポーズなのだろうか?

もし見つかったら、また引き離されてしまうかもしれないのに……

それを分かっていても、私も律樹と離れたくない! と思っている。

その気持ちに変わりはない。

どうすれば良いのだろう、と黙っていると……

「今すぐには、決められないかもしれないけど、俺は、これから先も、みありしか考えられないから! みありがどうしても俺じゃ嫌だって言うなら……」

と、そこまで言って……

「いや! それでも、やっぱり俺は諦めない!」と言った律樹。

「ふふ、何それ? 私に選択肢はないじゃない!」

と笑うと、

「ごめん! ない!」と笑っている。

「ふふふふ」

私の両頬を自分の両手で包み、

「この笑顔をずっと隣りで見ていたい」

と言った。

私もドキっとして、ジッと律樹の目を見つめてしまった。

──ダメだ! やっぱり、私も律樹が好きだ!

ゆっくり律樹の顔が近づいて来て、

私の唇と重なった。

そして、優しく動く唇……舌……

──律樹だ

ずっと大好きな律樹だ!

2年離れていた分、愛おしくて仕方がない。

また反対されるかもしれない。

でも……やっぱり一緒に居たい!

今だけは、周りのことを忘れさせて……

涙が溢れた。

「みあり〜ずっと会いたかったよ」と、私をぎゅっと抱きしめた。

「私も……」

ついに自分の気持ちを言ってしまった。

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